夏に流行る子供の感染症 ~抗菌薬って必要?~
暑くなってきましたね。
汗かきの僕にはかなり厳しい季節です…。
この前、こんなことがありました。
僕「熱さましの薬出てますけど、けっこう熱が?」
患者母「少しあります。熱が上がってきた時用にと先生が。あの…今回抗生剤は出てないんですか?前出されたときはよく効いたみたいで…」
僕「先生なんて言ってました?」
患者母「手足口病と言ってました」
僕「あー…実は…」
そうです。手足口病に抗菌薬は意味ないんですよね。
こういったことがあるので、病態の事をきっちり把握して薬が本当に必要かどうか見極めるのも薬剤師の仕事でもあります。
さて今回はこれから流行ってくる子供の感染症についてです。
有名どころの感染症を簡単におさえていこうと思います。
手足口病
~病原体~
エンテロウイルスが病因。
主な感染経路はくしゃみや咳などによる飛沫感染と経口感染。
~症状~
3~5日の潜伏した後、主に口腔粘膜、手のひら、足の底、足の背などの四肢末端に2~3mmくらいの水疱性発疹が出現。
発熱は3割くらいの子に見られるけど軽い。
通常は3~7日ほどで消失。水泡がかさぶたになることはない。
~治療~
ほっといたら治るので特別な治療は必要ない。ウイルスなので抗生物質は効かない。
療養中は水分不足にならないようにすること。また、治りかけの時は手洗いうがいなどで悪化や周りに感染させないようにするのも重要。
~学校の出席~
症状が回復した後。
ヘルパンギーナ
~病原体~
コクサッキーウイルスA群が病因。
主な感染経路はくしゃみや咳などによる飛沫感染と接触感染。
~症状~
3~6日潜伏した後、高熱が1~3日続き、のどの強い痛みやのどの発疹・水泡などが出現。
~治療~
特別な治療はなく、対症療法。手足口病との違いはヘルパンギーナのほうが発熱やのどの痛みや強く出る事が多い。
のどの強い痛みでろくに食事や飲水などができない場合があるので脱水症状に注意。のどに刺激の少ないやプリンや牛乳などを摂取して療養する。
~学校の出席~
症状が回復した後。
咽頭結膜熱(プール熱)
~病原体~
アデノウイルスが病因。
主な感染経路はくしゃみや咳などによる飛沫感染と接触感染。
~症状~
5~6日潜伏した後、発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎によるのどの痛み、結膜炎による目の充血、目の痛み、流涙などを主とした症状が現れ、3~5日続く。目に障害は残ることはない。
~治療~
これといった治療法はなく、対症療法が中心。感染者との接触を避けるのが重要。手洗いうがいはもちろんのこと。
~学校の出席~
症状が消失した後2日を経過するまでは出席停止。
流行性結膜炎
~病原体~
アデノウイルスが病因。
主な感染経路はくしゃみや咳などによる飛沫感染と接触感染。
~症状~
目のかゆみ、異物感、目やに、目の痛み、流涙などが主な症状。
~治療~
有効な点眼薬はない。対症療法として感染予防や細菌感染を考慮して抗菌薬の点眼を行う(クラビット点眼液やオフサロン点眼液など)。
~学校の出席~
感染のおそれがないと認められた後。
伝染性膿痂疹(とびひ)
~病原体~
主な病因は黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌。
感染は虫刺されやあせもなどを掻いたりした時やその時にできた小さな傷に最近が入り込むことによって起こる。
~症状~
感染してる菌によって特徴が分かれる。
黄色ブドウ球菌➡目・鼻・口の周りに水ぶくれやかゆみなどが現れることが多く、やがて全身に広がる。子供に多いのはこっち。
化膿レンサ球菌➡感染した所にかさぶたができる。リンパ節の腫れや発熱、のどの痛みも現れる。大人でもかかる。
~治療~
細菌の増殖を抑える目的でセフェム系の飲み薬に加えてフシジン酸ナトリウムテトラサイクリン系またはニューキノロン系の抗菌薬の塗り薬を使って治療を行う。
かゆみも強いので、抗ヒスタミン薬なども併用することが多い。
~学校の出席~
特に制限はない。
最後に
病原体がウイルスなのか細菌なのか、はっきり区別することが大事ですね。
なんでもかんでも抗菌薬を使っちゃうと耐性菌が出てきてしまって、薬が効かなくなってしまうこともありますからね…。