褥瘡について
参照今回は褥瘡について
病院の薬剤師さんならお目にすることは多々あると思うんですが、調剤薬局の薬剤師にはなかなか、、
褥瘡とは
褥瘡とは「床ずれ」とも呼ばれ、長時間皮膚に圧力やずれが加わることによって、血流が途絶え、壊死を起こすことで発生する潰瘍のこと。寝たきりな方や栄養失調、自分で痛みの感覚がわからない人などにできやすい。
できやすい部位
褥瘡は筋肉や脂肪の少ない部位に多い。
参照:https://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2008/01/4_jokusou.pdf
治療について
褥瘡は皮膚の侵襲具合で4つの分類に分かれ、それぞれ適した治療法に準えるのが基本。
参照:https://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2008/01/4_jokusou.pdf
◆Ⅱ度(浅い褥瘡)までの治療
浅い褥瘡は①発赤・紫斑 ②水泡 ③びらんの3タイプに分かれる。
①発赤・紫斑
発赤・紫斑は圧迫によって血管が障害を受け、赤血球が血管外に漏出することで皮膚が赤くなる状態。
〜治療〜
- ドレッシング剤(創傷被覆剤)で保護することが第1選択。
- マッサージは創面を悪化する可能性があるので避ける。
- 外用薬は皮膚保護の目的で亜鉛華軟膏などが使われる。
②水泡
水疱は、表皮と真皮の境界部に滲出液が貯留した状態。
〜治療〜
- 発赤・紫斑と同じく、ドレッシング剤で保護することが第1選択。
- 基本、水泡は破らないようにしてドレッシング剤を用いる。水泡部が著しく大きくなってしまった場合は、破って内容物を取り出した方が治癒が早い場合がある。
- 破れてしまった場合はびらんと同じ治療を行う。
③びらん
びらんは脆弱になった表皮が真皮から剥がれて滲出液が出た状態。
〜治療〜
- ①、②と同じく、ドレッシング剤で保護することが第1選択。
- 皮膚保護の目的で亜鉛華軟膏や上皮形成促進のためアクトシン軟膏(ブクラデシンナトリウム)やプロスタンディン軟膏(アルプロスタルジルアルファデクス)などが使われる。
◆Ⅲ度(深い褥瘡)以上の治療
深い褥瘡の慢性期は創面の色調によって4つの病期に分類される。それぞれの病期で病態は大きく異なり、治療法もそれぞれに応じて使い分ける。
参照:https://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2008/01/4_jokusou.pdf
基本の治療としては
①壊死組織の除去…外科的デブリードマン、外用薬・ドレッシング材の使用により壊死組織を除去する。
②肉芽形成の促進…創面に良性肉芽が見られないか乏しい場合は、適切な外用薬やドレッシング材を用いて創の適度な湿潤環境を保持しながら肉芽形成を促進する。
③創の縮小…創の収縮は、肉芽組織の収縮反応と新たな上皮形成によって可能になる。
④感染・炎症の抑制…感染の合併があるときは、まず感染の制御を優先する。深部膿瘍が疑われる場合は、ただちに切開・排膿をする。感染創は十分に洗浄する。
⑤滲出液のコントロール…大量の滲出液は全身浮腫や創感染に伴って見られることが多いので、改善しなければならない。滲出液が少なすぎても創が乾燥してしまう。
⑥ポケット皮膚(欠損部より広い創腔のこと)の解消…ポケットがある場合は、優先的にポケットを解消する。
これらを適宜優先するものを考えて治療を行っていく。
外用剤
外用剤は薬剤の効果を発揮する「主薬」と薬効はないが主薬を包む「基材」とで構成される。
◆基材の種類
①疎水性(油脂性)基材
油分だけでできていて水となじまない。そのため、少量の滲出液を創面にとどめておくことができ、保湿効果、創の保護効果が期待され、創の上皮化に使われる基剤。主に白色ワセリン、精製ラノリン、プラスチベースなど
〜外用薬〜
- 亜鉛華軟膏
- アズノール軟膏
- プロスタンディン軟膏
②親水性基材
水と油を界面活性剤で混ぜた乳剤性基材と水分を吸収して溶解する水溶性基材に分かれる。
◆乳剤性基材
・水中油型(o/w型)
乾燥した創面に水分を補給するもので、滲出液の少ない乾燥した創面が適応になる。
〜外用薬〜
- オルセノン軟膏
- ゲーベンクリーム
・油中水型(w/o型)
含有する水分が少なく補水機能は弱いため滲出液が適正な創に用いられる。
〜外用薬〜
- リフラップ軟膏
- ソルコセリル軟膏
◆水溶性基材
水分を吸収して溶解するものです。滲出液を吸収しますので、滲出液の多い創に適している。主にマグロコールなど
〜外用薬〜
- アクトシン軟膏
- カデックス軟膏
- ブロメライン軟膏
- ユーパスタコーワ軟膏